2014年11月号
特集/住宅を持続的に維持管理するために
わが国では社会基盤の維持管理が大きな課題となっているが、ストックとしての住宅もその例に漏れない。住宅は住まい手にとって大きな資産であり、快適さを保ちつつ住み続けるためには適切な維持管理が欠かせない。また住戸単体で済む問題ではない。集合住宅であれば建物全体として、戸建住宅であれば環境を共有する地域全体として、住まい手の共同により共有空間を適切に維持管理することも必要である。
すなわち住宅・住宅地の持続性向上が社会的課題であるといえるが、そこにはいくつかの論点がある。住宅単体では、適切なタイミングでの適切なリフォーム実施や、住宅維持と連動した資金の持続的確保が必要である。また集合的には、共有する施設の全体を見通した継続的管理が必要とされる。
このような背景から本特集では、居住を支える適切な維持管理の要件について、特にコストの考え方と負担方法の視点から現状と課題を探るものである。
企画編集:横浜市立大学国際総合科学部国際都市学系 准教授 中西 正彦
住宅/住宅地に住み続けるための維持管理に関する論点と課題
横浜市立大学国際総合科学部国際都市学系 准教授 中西 正彦
追加投資を誘引する社会的な仕組みのあり方
明海大学不動産学部教授 中城 康彦
居住の持続性という観点からのリバース・モーゲージの現状と課題
竃村資本市場研究所 主任研究員 小島 俊郎
費用面から見た持続可能なマンション管理の課題
明海大学不動産学部教授 齊藤 広子
戸建住宅地における共同編集型の街並みマネジメントの試み
九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門 助教 柴田 建
夕張市における集約型都市構造へ向けた公営住宅による市街地集約化事業
北海道大学大学院工学研究院 教授 瀬戸口 剛
トピックス
平成26年度国際居住年記念事業の活動
一般社団法人日本住宅協会
広場
超高齢団地における安心居住の支援方法に関する実践と研究
‐UR滝山団地プロジェクトから見えてきたこと‐
日本社会事業大学 特任教授 児玉 桂子
〃 准教授 菱沼 幹男
〃 特任准教授 大島 千帆
〃 大学院博士後期課程 佐藤 惟
宮本武蔵の町割りに学ぶ密集市街地の改善手法
明石市都市整備部建築室建築安全課 監察係長 京橋 健一郎
若年世帯及び子育て世帯に配慮した上市町営陽南住宅及び白萩西部住宅建設事業について
富山県上市町建設課
住宅だより海外編 ‐国際居住年記念事業 海外の居住環境改善活動報告‐
住民主体のコミュニティ開発 ‐アジアの先住民族、スラム住民、被災者の生活環境の改善と復興‐
公益信託アジア・コミュニティ・トラスト チーフ・プログラム・オフィサー 鈴木 真里