2020年9月号

基礎自治体の住宅マスタープラン再考

  わが国では、供給を主とした住宅政策の成果もあって成長時代に住宅ストックの量的な充足を達成したが、人口減少時代を迎えた今日では空き家の大量発生が問題視される状況となっている。一方、住宅の質や地域の住環境の向上、高齢者対応、社会的弱者・マイノリティへの住まいのセーフティネット構築など、「住まい」に関わる政策の領域は広がっている。
 国の住生活基本法・住生活基本計画などを受けて、あるいは個別の必要性などから、基礎自治体である市区町村でもいわゆる「住宅マスタープラン」を策定してきており、今日でも新たに策定・改定する動きがある。しかしいわゆる住宅政策の範囲が拡大・曖昧化している今日、その基本的方針となるべき住宅マスタープラン策定・改定にも多くの論点があり、結果として作られるプランにも差異が大きい。
 そこで本特集は、住宅マスタープランの課題、実例での重点領域などを示し、今後の住宅マスタープランのありかたを考えるものとする。

 

企画編集:横浜市立大学大学院都市社会文化研究科教授 中西 正彦

 

市町村の住宅行政とプラン体系における住宅マスタープランの課題
 横浜市立大学大学院都市社会文化研究科教授 中西 正彦 

基礎自治体による住生活基本計画      
  国土交通省住宅局住宅政策課調査係長 今野 彬徳

人口・家族変動と2020・30年代の住宅マスタープラン 
 慶応義塾大学名誉教授 大江 守之

都市計画と住宅マスタープラン       
 工学院大学建築学部まちづくり学科教授 野澤 康

住宅マスタープランとセーフティネット関係計画の関係とあり方
 ‐熊本市住生活基本計画の見直しを事例として‐
  熊本大学大学院先端科学研究部都市地域計画分野准教授 本間 里見

人口減少傾向自治体における住生活基本計画 
 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻教授 大月 敏雄
 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻助教 李 鎔根

トピックス

令和2年度「住生活月間」の実施について           
 住生活月間実行委員会事務局

令和2年度国際居住年記念賞等の受賞者の公募について      
 一般社団法人日本住宅協会

新刊書籍のご紹介 日本の建築文化事典
 東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授 松田 雄二