2022年3月号

働く場と住まう場の関係を問い直す

 市街地の用途純化を進めることは長く近現代都市計画の基本的な方向性であり、住宅用途に特化した住宅地(戸建て住宅地、集合住宅団地)が多く形成されてきた。また、そのような住宅地は良好な住環境を持つ地区として選好されてもきた。しかし、その結果住まう場と働く場が過度に切り離されてしまったことが、今日の住宅地衰退の一因となっている。人口減少・超高齢化社会において、就労と住宅地の関係を再考し、住宅地に様々な「働く場」を入れ込んでいくことが、住宅地の再生・活性化の一方策かと考えられる。働き方改革や職業の多様化、そしてコロナ禍によるテレワークの急激な普及は、その方策実施を後押しするかもしれない。あるいは後押しするような状況を作り出すことが今後の住宅地への手当として必要ではないだろうか。このような働く場と住まう場の関係を問い直すことをテーマとし、特集とする。

 

企画編集:横浜市立大学大学院都市社会文化研究科 教授 中西正彦

 

住まう場が中心となるポストコロナの未来都市
 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻准教授 瀬田 史彦

職住分離や職住近接の経済学的意味と政策の方向性       
  関西学院大学経済学部 山鹿 久木

コロナで変わる住まいと住宅地への計画論
 佐賀大学理工学部理工学科都市工学部門准教授 宮原 真美子

魅力的な建物は入居者の「共感」から作られる
 吉原住宅有限会社株式会社/スペースRデザイン 代表 吉原 勝己
 吉原住宅有限会社/学術 箱田 あき
 吉原住宅有限会社/学術 新野 絵梨奈

大阪府住宅供給公社の団地再生プロジェクト〜住まいアップ!暮らしアップ!つながりアップ!〜
 大阪府住宅供給公社 田中 陽三

UR都市機構におけるアフターコロナのワークスペースと住まい
 独立行政法人都市再生機構技術・コスト管理部ストック設計課 村上 修一