2016年1月号
大学と地域居住
地域問題の解決には多様な主体の関わりが重要であるが、近年、そのひとつとして大学への期待も大きい。住宅地の活性化や住民活動への支援についても、教員や学生等の大学関係者が様々な関わり方で取り組む事例が増えてきている。組織としての大学にとっても、より実践的な研究・教育や実社会への貢献が求められる時代になり、地域貢献を研究・教育に加えた三本目の柱として標榜するところも増えている。
しかし、本来学府である大学が地域に実際に何をなすべきなのか、何をなし得るのか、そして活動が本当に効果をもたらしているのかは注意深い検討が必要である。また具体的な活動においては、教員の負担、活動予算の確保、学生の入れ替わりといった課題も多い。
そのような背景から本特集は、大学の地域貢献活動、特に住民・住宅地への多様な関わり方としての地域居住支援について、具体的な活動の中からその役割・意義と課題を示すものである。
企画編集:横浜市立大学国際総合科学部 准教授 中西 正彦
大学による地域貢献と地域居住支援とは 〜本誌編集アドヴァイザーによる座談会〜
千葉大学大学院園芸学研究科 准教授 秋田 典子
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 教授 大月 敏雄
九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門 助教 柴田 建
横浜市立大学国際総合科学部 准教授 中西 正彦
岡山大学大学院環境学研究科 准教授 橋本 成仁
東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻 准教授 樋野 公宏
(五十音順)
ニュータウンの居住支援 ‐多摩ニュータウン学会と関わりのある大学の活動‐
多摩ニュータウン学会 会長/明星大学理工学部総合理工学科(環境・生態学系)教授 西浦 定継
「知識の制度」としての大学と地域貢献
‐横須賀市の谷戸における学生シェアハウスと地域支援活動‐
神奈川県立保健福祉大学保健福祉学部長/教授 金 龍哲
田舎に住む楽しさと豊かさを生み出す原動力に
〜地域と大学の協働実験、水車発電小屋「くるくるくまの」〜
和歌山大学産学連携・研究支援センター教授 湯崎 真梨子
官・学と地域の連携 ‐アーバンデザインセンターの概念・実際と大学の役割‐
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授/UDCKセンター長 出口 敦
地方創生人材支援制度による大学研究者派遣
‐千葉県横芝光町シティマネージャー(非常勤特別職)として‐
千葉大学コミュニティ・イノベーションオフィス准教授 鈴木 雅之
地(知)の拠点整備事業選定大学に見る地域貢献活動と居住支援
横浜市立大学国際総合科学部 准教授 中西 正彦
住宅だより海外編 ‐国際居住年記念事業 海外の居住環境改善活動報告‐
ブルキナファソでの「緑のサヘル」活動記
一般社団法人日本住宅協会