2016年5月号

空き地を地域の資源にする

 2015年2月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、これによって増加する一方の空き家に対する一定の制度的な解決策が見出された。しかし、空き家問題の行きつく先は空き地問題であり、空き地問題への適切な道筋がつけられることで、ようやく人口減少時代における土地利用の在り方に対する全体像が展望できると考えられる。
 本特集では人口減少に伴い増加を続ける住宅地における空き地を、外部不経済の発生源とするのではなく、住宅地そのものの価値を高めるポジティブな資源に転換してゆくための方策を検討する。そこで、国内外における空き地の活用の先進的な取り組みを取り上げ、その取り組みを成立させるために必要な制度や支援方策、また現状での制度的な制約や課題に焦点を当てて、長期的な空き地活用のビジョンを展望する。

 

企画編集:千葉大学大学院園芸学研究科 准教授 秋田 典子

人口減少時代の空き地のマネジメント
 千葉大学大学院園芸学研究科 准教授 秋田 典子

米国デトロイトにおける「積極的非都市化」の取り組み
 東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻修了・民間企業勤務 高梨 遼太朗
 九州大学大学院人間環境学研究院 准教授 黒瀬 武史

空き地のマネジメントと住宅地の「幸せな閉じ方」
 ‐公共による空き地の芝生化が進むJ住宅地を事例に‐
  九州大学大学院人間環境学研究院 助教 柴田 建
  九州大学大学院人間環境学府修士課程 薮井 翔太郎

斜面住宅地における空地の利用と管理
 ‐北九州市八幡東区枝光一区における調査・実践から‐
  九州大学大学院人間環境学研究院 准教授 志賀 勉

石巻市中心部における低未利用地を活用した暫定的商業施設
「橋通りCOMMON」の取組みについて 株式会社街づくりまんぼう 苅谷 智大

首都圏50km圏の戸建住宅地での空区画の再販動向
 〜人口減少時代でも活力を保てる郊外住宅地の特質〜
  鞄s市環境研究所 計画グループ主任研究員 認定NPO法人 日本都市計画家協会 高鍋 剛

プレイスメイキングによる豊かな暮らしの風景づくり‐小田原市の「芝活」を事例として‐
 (一社)パブリック・プレイス・パートナーズ共同代表理事 小田原Laboratory.代表 園田 聡

フィラデルフィアにおける未利用地マネジメント事業
 工学院大学建築学部まちづくり学科 教授 遠藤 新

 

トピックス

平成27年度国際居住年記念事業「国際居住年記念賞」等の受賞者の決定について
 一般社団法人日本住宅協会


広場

昭和の公団住宅・計画者が語る
  元住宅・都市整備公団 建築担当理事 青ノ 幸人

 

書評

サステナブル社会のまちづくり 海外の実務者との対話から見えてくるもの
 九州大学大学院人間環境学研究院 助教 柴田 建

人口減少時代の住宅政策
  京都大学大学院工学研究科 教授 燗c 光雄